あの日あの時あの場所で?

復帰!(゚┏д┓゚)ノシ
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心静まり、そして・・。11

天井と思われる場所にへばり付く、"何か"の群れだった。
群れなんてもんじゃない。
数は分からない。けど、その数が膨大なものだって事は分かる・・。
顔と思しき場所にある、落ち窪んだ双眸が真っ赤な光を放ちながら僕達を見下ろしてるから。
その数は、膨大。

『夜月・・・さん。これは・・!?』

「真上だけ・・じゃないみたいじゃの」

「一旦下がった方が良くねぇか?」

「無駄じゃの」

「ちっ」

舌打ちを合図に"何か"が落ちてくるそぶりを見せた。
まずい・・このままじゃ!

「SGを!」

夜月さんが吼える。
ってSG唱えちゃだめっていってなかったっけ・・。

「な!?唱えるな・・」

Qさんも疑問に思ったらしく、少し戸惑ったようだけどすぐにSGを詠唱した。
SGを上空に向けて発動させると、一言。

「・・ディレイか!」

「ほうじゃ!」

逆巻く氷風の嵐に、"何か"の群れは根こそぎ吹き飛ばされ、切り裂かれる。

そうか、夜月さんはあの時にはもう上に気が付いてたのか。
SGを二度放つ事のディレイを心配して唱えるなって言ったんだな。

切り裂かれた"何か"が地面に叩きつけられる。
周囲には細切れになった物体、その"何か"から出た水っぽいものでぐちゃぐちゃだった。
気持ち悪い・・。
けど、皆器用にその異様な落下物を避けながら前に進む。
Qさんだけかな、避けもせず堂々とまっすぐ進んでるの。

「きっもっちわるー・・」

落下物を踏まないようにおっかなびっくり進む葭さん。
って言うか無駄に避けすぎなような・・・。
ひっひっひ

「うぉぁ!?」

急に地面に臥した落下物が異様な声を上げた。
変な声をだしながら前を進んでいた夜月さんに抱きつく・・って言うか体当たりすると、共々倒れた。得体の知れない液体とか物が沢山落ちてる道に。

「あ゛ーしー・・・!!」

「ひっ・・ご、ごめんなひゃい・・!」

鬼の形相とはこの事だろうなぁ。
あぁ~あ・・、頬っぺたつねられてるし。
あの力でやられたらって思うと・・。かわいそうに。
まぁ、自業自得か。

敵が一掃されて少し気分が楽になったのか、夜月さんにさっきの続きを聞く余裕が出来た。
まだ葭さんの頬っぺたを引っ張る(両手になってた)夜月さんに質問してみる事にした。

『夜月さん、さっきの続きを・・?』

「おぉ、忘れとった」

そう言うと葭さんの頬っぺたから両手を放し、前に進みながら言葉を続けた。
うわー、真っ赤になってる。ヒールとなえてるし。

「ここはの、何と表現すればいいかわからんが、図書館みたいなもんじゃ」

「図書館?」

そのセリフに反応したのは以外にもQさんだった。
アラームの仮面を外しながら、足を止めて夜月さんを見据えた。

「ンな訳ねーだろ。図書館程度にこんな警備ありえねぇ。1Fも見ただろ?」

確かに・・。

「俺は最下層まで行った事あるんだが」

そこで言葉を切ると、周囲を見渡す。

「別ルートだったけどな。俺の行った最下層はここにも引けをとらねーくらいやばかったぜ。図書館の警備システムとは思えねぇ」

最後に夜月さんに視線を戻して、言葉を終わらせた。
夜月さんは

「知識を甘く見てはいかんぞ」

そう言うと少しだけ口の端を上げて笑う。

「まぁ、ここにあるのは兵法指南書とか魔法書とかそんな類のものではないんじゃがの」

「じゃあ何なんですか?」

「歴史書だ。しかも本ではないらしい」

本じゃない歴史書って・・?何なのかと聞いた葭さんと目があい、二人で肩をすくめた。

「行ってみん事にはワシも言葉では説明できん。」

そう言うと止まっていた足をまた先に進めた。
皆も渋々というように、夜月さんに続くように歩きはじめる。
少しの間無言の時間が流れたけど、先頭を歩いていたやんさんが夜月さんに質問した。

「もう直ぐなんですか?」

「あぁ、この先らしいからの」

『この先・・?』

この先にLuの手がかりが・・!
そう思うと足が勝手に進むような気分になってきた。
葭さんがふと声を上げた。

「お師さんはどうしてソレを知ってるんですか?」

「あー・・。それはの・・。内緒じゃ」

「っぇー・・」

何故か後ろめたそうに目を背けた夜月さんを、不満そうに葭さんは追いかけながら先を進んで行く。誰も不安に思ってなさそうだ。少なくとも表面上は隠す余裕はあるらしい。
凄いなぁと思いつつボクも先に進む。
この先に、Luが。
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by factfinder | 2006-06-13 16:21 |  

心静まり、そして・・。10

夜月さんの言葉を合図に、地下に向かって伸びる光の道へと足を踏み入れた。
先陣を切ったボクの後に夜月さん、葭さん、やんさん、Qさんと続く。
光が目を覆い、その次に見えたのは回廊だった。
前回来た時にはここへは足を踏み入れていない。
はじめて見るジュピロスダンジョンの2階層・・か。

「「「ここがジュピロス2F・・?」」」

不意にやんさん達が声を上げた。

「いつもと違うくねぇ?」

「の、様みたいですね」

やんさんが周囲を見渡しながら言った。
不思議そうに頭を押さえると、夜月さんの方を向いた。

「こんな所には来た事無いですよ」

「お師さん。ココはいったい・・?」

「道間違ったんじゃねーの」

「間違ってはおらん。何が違うんじゃ?」

「雰囲気と言うか、道がもう既に全然違います」

「ふむ・・。ならこの道でええんじゃろ」

「そういや、来る時の道も遠回りしてたよな?」

Qさんが、イヤリングを触る夜月さんへ質問をした。

「そう聞いておったからの」

そう答えた後、口の端を少しだけ上げて笑うと周囲を見渡した。
ボクもソレに続いて周囲を見渡す。
壁のような仕切りは無く、橋がそのまま道になっているような感覚。
道自体がが、どこまでも続いているようで、すぐに終わってしまうような一種不気味な雰囲気を発しているみたいだ。
少し遠くの方には幾何学的な模様の柱がぽつぽつと点在してる。

「ぶ、ぶきみなところですね・・」

葭さんもボクと同じ感想をもったらしい。不安げに夜月さんのローブのすそを引っ張っている。

「俺が先導しますよ」

ペコペコに進むよう指示しながらやんさんが先陣を切る。
槍を右手に持ち、左手で手綱を握りながら、慎重に進む。

「きー抜くな」

Qさんが魔力を杖に集中しながら軽口を叩くが・・

「おんしは特にな」

夜月さんに怒られる。
この先にLuに関係するところがあるんだろうか?
少し不安になってきたボクは夜月さんに尋ねてみることにした。

『この先には何があるんですか?』

「聞いた限りではの・・」

夜月さんの言葉を遮り、轟音と共にやんさんの頭上から何かが落ちてきた。
確かめる暇も無くやんさんに襲い掛かる何かを、やんさんは怯んだ様子も無く槍で蹴散らす。

「Q!ストームガストはダメじゃ!」

お師さんがやんさんに走りよりながら言葉を放つ。
ってー・・ストームガストがだめって・・?

『夜月さん・・!』

ボクはその指示に戸惑いながらも夜月さんの後を追うべく走り出した。
前にはもう既に走り出していた葭さんの後姿。

「チッ」

後ろでQさんの舌打ちが聞こえ、ボクと葭さんの間を縫うようにしてユピテルサンダーが走っていった。走っていった白色の電塊は何かの姿を明確に映し出しながら、やんさんに絡みつく"何か"を吹き飛ばす。
ソレは異形のモノだった。
人とも言いがたく、ジュピロスダンジョンで目にしたモンスターとも違う。
強いて言えば、グラストヘイムに出現するインジャスティスと呼ばれる不死生物に近いかな。
地面に叩きつけられると、ブリッジをするような体勢で起き上がる。
顔らしき場所には落ち窪んだ目、口、鼻。
手の場所に足が、足の場所に手が・・。
不気味で仕方ない・・。

「何じゃこいつは・・」

さすがの夜月さんも知らないモンスターらしい。
やんさんに追いついたボクは、周囲を警戒するべく上を見上げると、唖然とした。
ボクの見た方を、夜月さんを除く全員が見上げる。
こいつは・・。

「まずいの」

夜月さんはそう言うとイヤリングを触る。
走り寄る時に、上をもう確認していたらしい。

ボクの見た光景は・・。
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by factfinder | 2006-06-13 16:20 |  

心静まり、そして・・。 9

ぱしっ

気合を入れる為に自分で頬を叩く。
その後はシューズを履き、手甲をいつもより強めに付けた。
準備と言ってもそのくらいで、後はローヤルゼリーやら白Pやらの数の確認。
夜月さんのおかげか、グッスリとは言わないまでも、疲れを残さない程度には寝れたみたいだ。
Luの為にとかじゃなくって、ボクがまたLuに会う為に頑張るんだ。
そう考えると少し自分に自信が持てる気がする。

『よしっ・・。』

そう言うと腰掛けていたベットから立ち上がり、少しだけ体の筋を伸ばす。
伸ばしていると、扉をノックする音と声が聞こえてきた。

「おきてますかー?」

葭さんか。
ボクはそのまま扉越しに話を続けた。

『起きてますよー。今出ますんでちょっと待っててください』

「はーい。あ、ええっとそれじゃ受付で待ってますね!」

『分かりました』

バタバタと廊下を走る音がした。
音が消える前にポーチを腰に下げ、装備の最終確認をする。
忘れ物とか・・ないよな?

『よし!』

ジュピロスへの道程もさる事ながら、夜月さんの言っていた事も不安になる。
けど、行ってみるっきゃない!





どういうわけか、ジュピロスへの道程は大した事はなかった。
やんさんとQさんが暴れすぎだとは思ったけど、さほど手間取られた風もなくジュピロスの入り口に到着する事が出来た。

「二度目だな」

やんさんが静かな声音でそう告げた。ペコペコは大人しくやんさんの傍に座っている。
そのセリフに答えるように、葭さんがブレッシングと速度増加の合間に言葉を入れた。

「ですねぇ」

「ふむ。ワシははじめてじゃがの」

「夜月は火山いってたじゃん」

このくぐもった声は、アラーム仮面をつけたQさんが言ったんだろうなぁ。ってか顔が見えないから声でしか判別できないのはちょっと・・。

「まぁそうじゃがの」

そこまで言うと全員は言葉を止め、各々が空へと伸びる光の道を見上げだした。
光の道と言うより、ワープポータルに近い種類の物じゃないのかなとボクは思うんだけど・・。実際のところはわからない。

「「「「『さぁ行こう』」」」」

5人が合図も無しに同じセリフを言った事に、少しだけ感動を覚える。
皆Luの事を心配してくれてるんだ。
ボクも頑張らないとな。
決意し、足を光に踏み入れた。
その先は。
見覚えのある景色。
悪い夢のような現実の、出発点。





「Q!!ストームガストを!」

夜月さんが吼える。その大声と同時に、周囲には薄い霧が立ち込め始め、敵を切り裂く雹刃と生る。周囲を薙ぎ散らしていく刃は、僕達を傷つける事無く収まり、消えていった。

「どうじゃ?SPは持つか?」

「は、はい・・。なんとか」

「俺はよゆーだ」

「俺もです」

『ボクも大丈夫です』

元々、何かに縛られながら狩りをする事が、あまり好きじゃない人が多いと思う。
僕達もその例に漏れず、全員が全員好きに動く感じなのが僕達のギルド狩りの方針だった。
けど今回の狩りはちょっと違った。
元々がLuを助ける為の遠征なので、SPやHPを温存しつつ、前進していってる感じ。
各々が好きに動いている訳じゃなくて、夜月さんが司令塔、やんさんが前衛。葭さんは回復、Qさんは火力。ボクはー・・。

「葭がブレスをかけ損なっとる!やんにブレッシングを!!」

そうそう、葭さんがやり損なった基本的な支援の補完や。

ブレッシングをやんさんに唱える。
方陣がやんさんの頭上に現れ、一瞬天使の姿を象り、やんさんの体に染みるように消えていった。

「Qに敵が張り付きおった!剥がせ!」

後衛に張り付いた敵を剥がす役目だ。

Qさんにはりついた"ヴェナート"と呼ばれる、六足の姿をした敵を右手で弾き飛ばす。ボク一人じゃ中々倒せないからボクの方に注意を向けるだけでいいんだ。
その後はQさんの魔法でどうにかする手はずになってる。


もう1~2時間は進軍した。

けど夜月さんが到着したと言わないあたり、まだまだ先にあるのかなと思う。
だんだんと目的地には近づいているんだろう。不安で仕方ない。
ふと夜月さんが足を止めた。

「道はあっとると思うんじゃがの」

止まった理由は簡単。
道が無くなり、壁がそびえ立っているからだった。

『夜月さん?』

「間違いないはずなんじゃが・・。この先にあると聞いたんじゃがの」

「間違えては無いよ。ただここって、螺旋階段になってるんじゃなかったっけ」

Qさんが指差した方は、壁の終わり、影になっていて見えないが、階段といわれればそう見えなくも無い場所だった。

「なるほどの」

夜月さんは首を立てに振り、なにやら納得した様子。

「ぉー。ほんとだ」

・・葭さんは真似をしているのか、こちらも首をこくこくと。

螺旋階段は地味に急で少し辛かったけど、上りきった先には入り口と同じような光の道があった。ただ、その光は薄暗く、地下に向いて伸びている。
不安がボクの胸を掠める。

「この先じゃの」
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by factfinder | 2006-06-13 16:19 |  

心静まり、そして・・。 8

ここは?                どこだろう。
・・・真っ暗     。
   真っ暗って何?    何 も見え ナイ
事。
見えない?                   訳で はナいよ。
今も目の     前にアノヒト    ガいる。
そう "アノ ヒト"

               前のはだけた白い服
ミドリの髪
            片眼鏡
    ブラウンのパンツ
                 優しい笑顔

彼の事ならいつでも思い出せるよ。

彼?
         彼って誰?
彼は彼。
彼はワタシの?何だったろう?

ワタシ?
私・・。
私・・・。
私。

私は私!

ここは何処!?

私はLuだ!!





「ドウイタシマショウカ?」

無機質な音が集合して言葉になったような音がする。
言葉・・と呼ぶのかも分からないが、その言葉を発したモノも、人間にはほど遠い姿形。
無機質な光沢を湛えた体に、足とも手とも分別できそうにもないモノが6つ。
顔?と呼ぶのが正しそうな場所には落ち窪んだ赤い光点がふたつ。
動くたびに間接と思しき場所がキィギィと鳴る様は、あまり心地いいものではない。
モノの前には金属で出来た箱があるが、ソレを見ているのかは判然としない。
言葉を発しても返答がないと感じれたのか、モノは言葉を投げかけた方向へ首を回す。
部屋は薄暗く、かつ狭い。
狭い、と言うより、物が沢山あるのだろうか。
チューブともロープのとも判別のつかない物が至る所を駆け巡り、机の上には試験管、何らかの薬品、金属で出来た箱、何らかのスイッチが沢山集まったものなどが所狭しと置いてある。
モノの視点が止まった場所。
見ていると思しき場所に人が、いた。
姿形から見て人なだけで、本当に人なのかは判別がつかないが。

「さすが・・と言うしかないな。アノ状態でここまでとは。まぁいい、放っておけ。何もできんだろう」

「了解シマシタ」

モノは首を180度回すと、6本の手足で器用にチューブを避けて部屋を出て行く。
ギィキィと鳴る音が煩わしい。
モノが部屋を出ると、金属の箱を見ながらスイッチのような物を不規則に押していく。
その顔は確かに、

「期待できるな」

その声は確かに、笑っていた。








不安だった。
ジュピロスへ行く事が、じゃない。
Luの事を考えると、だ。
ボクなんかが考えてもわからないし、不安に思ってても行くしかないんだけど、どうにも不安で仕方がなかった。
やんさんとQさんを呼んだ後、ジュノーへ来たんだけど、ダンジョンへ入るのは少し待とうと夜月さんが言い出したのが少し前。
次の日にジュピロスへ行く事が決まったんだ。
夜月さんは調べ物があるらしく、その後をついて行った葭さん以外は宿屋を探して泊まる事になったんだけど、寝ようにも寝られない。
寝ておかないともっと大変な事になりそうなのに・・。
体が、頭が、言う事を聞いてくれないんだ。
思考が堂々巡りをしている事は分かっているんだけど・・。

コンコン

不意に扉の方で音がした。
誰か来たのかな?

『どうぞー。開いてますよ。』

そう言うと扉が開き、夜月さんが入ってきた。
ボクの寝ているベットの前にある椅子に座り、イヤリングを触りながら話しかけてきた。

「夜中にすまんの」

『いえいえー。寝られなかったですから』

体をベットから起こして、頭をかきながらそう答えた。

「ちょっと聞きたいんじゃが・・。ええかの?」

『何でしょうか?』

「おんし、Luが何といったか覚えておるか?」

『何と言ったか・・?』

「あぁ。最後にLuの吐いたセリフじゃ」

えぇーっと確か・・・。

『行ってから教えてあげるね。多分あなたもビックリするから?だったような』

「なるほど、の。やはり鍵はジュピロスか」

『どうしてですか?』

「なに、ワシも少し調べてみたんじゃがの」

そこで言葉を切ると、足を組んで、ひざの上に両手を乗せた。

「最近、ジュピロスを調べるモンクの噂があるらしくての。その事について少々面白い事が聞けたんじゃ」

『・・!?』

どんな事ですか!?と言う前に、夜月さんが先に言葉を発した。

「行ってみれば分かるじゃろ。何となくじゃが想像はついた。じゃからの」

ボクの方をみて気遣うように夜月さんは語りかけてくれた・・

「今は寝る事じゃ。おんしがそんなでは、Luを見つけた時どうする?じゃからの・・。寝ろ」

・・けど、有無を言わさない物言いに少し笑ってしまった。
そうだよな、明日の為に少しでも体調を整えておこう。

それじゃの、というセリフを残し、夜月さんは自分の部屋へ帰っていった。
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by factfinder | 2006-06-13 16:18 |  

心静まり、そして・・。 7

「君達のギルドで真相を探るんだろ?」

そう言いながら笑うその顔は、美形の一言。
同じ男としてうらやましくもあったけど、まぁ恨んでも仕方ない。
ボクはボクなり!Luが・・・いやいやいやいやいやいや。
今はそのLuが問題になってるんだ。
ボクの考えが読めたのか、またこちらに向かって笑いかけ、語りかけてきた。

「夜月はその方がいいと言ってたよ」

そうだろうなぁ。ボクのしってる夜月さんは、わからないまま終わりにするタイプじゃないはずだ。何かしら行動を起こすと思ってたけど・・・、まさかGMにまで意見するとは思わなかった。
あ、ええと。GMってのは、当て字らしいけど
"Gerechtigkeit Maechtig"って感じの略名だった気がする。
「強力な正義」の意味を冠する、めちゃくちゃ強そうなふたつ名を持つ人を相手に・・・。
さすが夜月さん。
そんな事を考えていると、またボクを見て笑う。
考えが読めてるとかじゃなくって、癖なのかなぁ。
感じ悪いってちょっと思ってしまう。

「どうする?」

まぁだけど・・・。
この場で答えられるセリフなんてのは、ヒトツしかないんだ。





「さて、何から話してくれるんじゃ?」

その後、夜月さんの働きかけのおかげか、解放された僕らはいつもの場所に集まっていた。
たまり場について早々の問いかけ。ボクの顔を覗き込む夜月は、耳についた羽を模したイヤリングを片手で触りながら聞いてきた。
あぁ、これは前の続きか!って事に思い至ったボクは、Luがジュピロスで何かを探していたらしい事、その過程でなのか、結果でなのかは分からないけど、ルーン文字を解読していた事などを簡潔に話した。

『・・・・って訳なんです』

「なるほどの。いやー・・・前にも言ったと思うが、コヤツの説明はいかん」

少しため息がまじった物言いに、葭さんは体を縮めて

「ご、ごめんなさい・・。」

何だかかわいそうだけど・・。ボクもそう思う時がたまにあるんだよなぁ。
そんなどうでもいい考えを吹っ切り、今まであった事を整理してみる。
それについては夜月さんに初めから説明した事は、自分にとってもいい事だったみたいだ。
一週間前の事を思い出す。
そこにあったはずの笑顔を。
Lu・・・。
どうしてるのかな・・。大丈夫なのかな・・。

「まぁええんじゃが、Luがジュピロスへの・・。」

迷路に迷い込んだような思考しかできなくなったボクを見てか、夜月さんが独り言のように呟いた。視線はどこともなく泳いでいる。夜月さんも辛いのかもしれない・・。ボクより知り合ったのは前のはずだし、当たり前か・・。

『はい。夜月さん心当たりが?』

「いや・・、無いの」

『そうですか・・・。』

夜月さんでも分からない事はあるんだ。
当たり前の事だけど何故か新鮮な感じがした。
それまで縮こまってた葭さんが急に背筋を伸ばした。
なんだろう。

「あ、お師さん」

「何じゃ?」

「この本どうしましょう?事情聴取の時には隠してたんですよ!」

「あぁそれがあったの」

「ほ、ほめてくれないんですか・・!?」

きゅ、急に何を言い出すんだ・・・!
何故か嬉しそうだった顔を少し悲しそうに歪ませた。

「特に重要視はしておらんかったからの」

「・・・。」

『緊張感ないなぁ』

思ってた事がつい口に出てしまった。
見る限り力いっぱい脱力してる葭さんを見て笑いがこらえきれなかった。

「まぁ一応みせてもらおうか」

「はいー・・。」

「ルーン文字に関する知識みたいじゃがー・・。ワシの知っとる事しか書いてないの。ルーン文字の発見事態が最近じゃから、ワシも一応調べたんじゃ」

本を見ながらそう言う夜月さんに何故か違和感を覚えた。
なんだろ・・。ってなるほど・・・、本をめくるスピードが普通じゃないんだ・・!
ちゃんと読んでるだろう事は目の動きを見れば分かるけど、普通じゃない・・・。
どうでもいい事ばっかりに目がいく自分を叩きのめしたい衝動にかられた。

『そ、そうなんですか?』

「あぁ」

「じゃが、何も分からんかった。どうやっても転生者にはルーン文字についての知識は適わんと思い知った時は腹が立ったわ」

「あはは・・。」

『で、何から手をつけましょうか?』

「そうじゃの、先ずはジュピロスへ行かん事にはどうにもなるまい」

そう言うと夜月さんは立ち上がり、こちらを向いて付け加えた。

「やんとQを呼んでおけ、ワシは顔馴染みの司書官に謝罪のひとつでもして来る」

「『分かりました』」


行き先は彼の地。
ジュピロス。
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by factfinder | 2006-06-13 16:17 |  

心静まり、そして・・。 6

「呆けとらんで走らんか!」

先頭を走る夜月さんに注意された。何度も後ろを振り返っているのに気がついたのかな・・。
呆けるなと言われても、さっきの小部屋にはLuが・・・。
と言うか、最後尾のボクの姿が見えてるのかが気になった。

「心配せんでも、あやつは今のところ大丈夫じゃろ」

夜月さんはボクの考えてる事がわかるんだろうか?

『今のところ・・?』

「その先は出てから話そう。おんしの口からどうなったのかが聞きたいからのう」

そう言うと葭さんを一瞥して、ため息。
ど、どうしたんだろ。

「知らせてくれたんはええんじゃがー・・。如何せん説明下手での。葭は」

「『あ、あはは』」

同時にボクと葭さんは苦笑いをした。
そんな話をしてる間に、廊下の先に光が見えてきた。
と言うか・・。何か暑いような・・。

「火の回りが速いみたいじゃの!ほれ、行くぞ!」

『火!?』

「Luが暴れておった時に、灯りが本に引火したんじゃろうて。ワシがついた時にはもう手がつけられなんだわ」

Lu・・。
このままだと・・・、Luも危ないんじゃ!?

「安心せい。もうおらんようになっとるじゃろ」

そう言うと来た道をを顎で示し

「の?気がつかなんだか?」

口の端を少しだけ上げて笑う。
そういえば・・。あの無機質な気配が消えてる。

「さぁ出るぞ。話はそれからじゃ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





何度同じ話をさせれば気が済むんじゃ!』

ワシとしてはこんな所に長々といとうはなかった。
尋問室とでも言うような質素な部屋には机が一つに椅子が二つ。
目の前におるのは、私がセージ駆け出しの時にお世話になった恩師。
話の内容が明るかったなら、酒でも酌み交わしながら久しぶりの再会に感謝し、笑いあったのじゃろうが・・。
図書館から出たワシ等を待っておったのは、プロンテラ王国騎士団と各種職業ギルドによる別々の事情聴取。
どこのどいつが通報したのかは知らんが、周囲には魔法士やら騎士やら聖職者やらが、雲霞の如く押し寄せておった。
あれよという間に取り押さえられ、そのまま連行された訳じゃが・・。
何度も同じ質問しかしてこん。
聡明な恩師とは思えん発言ばかりで辟易しているところじゃ。
とは言うものの、身内から放火犯が出たとなると知らぬ存ぜぬは通じんよの・・。
顔馴染みの司書官は黙ってくれとったみたいじゃが、数名のプロンテラ兵にLuの姿を見咎められておっては、弁解の仕様もなかった。

「そう言うな・・。セージギルドの長老としても、夜月が犯人だとは思わんのじゃがのう・・。プロンテラ国立図書館が炎上したとなるとワシ一人の裁量ではどうにもならん」

いつもの好々爺然としたなりは潜められ、それでいて非難の目をワシに投げるでもない。
そんな恩師に少しだけ謝罪の念を感じずにはおられん。しかし・・。

『しかしの・・・。このまま呆けておっても事態は好転せんじゃろ?さくさくと下手人を捕まえてくるよって、今は解放してもらえんか?』

「うーむ・・。」

顔をしわくちゃにして考え込む恩師。
そう悩む事でもあるまいに・・。

「構いません」

どこからか声がした。ワシでも気がつかんとは・・。
声の主はドアとは真向かいの、採光窓横に立っていた。

「『GM・・・!?』」

少し薄暗い部屋には、いっそ似合いそうもない真っ白な服。
此方を一瞥し、笑うその顔に不安を抱かずにはおられんかった。
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by factfinder | 2006-06-13 16:16 |  

心静まり、そして・・。 5

目の前にある光景を、疑う事しか出来ない自分。

『何・・してるの?』

そう問いかけてる事自体がとてもバカらしく思えてきた。
目の前にいるのはLu。
だけど、ボクの覚えてるLuじゃない。
姿は一緒。顔も一緒。なら何が違うって・・。
雰囲気以前に瞳が違った。
綺麗なブラウンの瞳ではなく、暗闇をそのまま詰め込んだ様な黒い瞳。
Lu・・じゃないのか?
問いかけにも答えてくれない。
無機質な瞳だけが告げるセリフは、ただ一言。

"排除"

『どうしちゃっ・・・』

言い切る前にLuの右手がボクの腹を穿つ。
くの字に曲がる体。
前に出された顔を、正面から左手で掴まれた瞬間、狭い個室の壁に叩きつけられていた。

『・・・・っ!』

言葉すら出せない。
かわりにとばかりに、かすれた声と血がでてきた。
このままじゃまずい・・!このままじゃ・・・、ボクも司書官も殺される。
けど反撃するのか?
Luに?
思考がまとまる前に、顔を掴まれたまま今度は放り投げられた。
力なく吹き飛ぶボクを、とてつもない勢いでLuは追いかけて来る。
反撃とまではいかないけど、このままでは死んでしまうと思った僕は、次に狙われるであろう場所を重ねた両腕で防御した。
けど、結果的には無意味だったみたい。
振り上げられていたLuの拳には気弾が握られており、そのまま両腕の掌で押し付けるようにボクへ打ち付けてきた。
発剄と呼ばれるモンクの技のヒトツで、その技の前には防御など何の意味もなさない。

『かはっ!!』

中空に浮かんだままの状態で発剄を叩きつけられたボクは、地面にも叩きつけられる事になった。
まずい・・。
かすれる意識を持ち直して、何とか立ち上がる。
そのまま片手を自分のお腹に持っていくと、ヒールを唱えた。
少しは具合が良くなった体に鞭打つべく、Luに対峙する。
けど・・・、目の前に立つLuは無感動なまま、もうヒトツ気弾を掌に寄せている。
三段掌だろうな・・。
そう思った僕は、司書官を視界に入れ、逃げ道を探す。
出口はボクの後ろにあるけど、司書官が少し遠い場所で倒れている。

『くっ・・!』

ゆっくりとボクに近寄るLu。
後ずさるボク。
5分とも10分ともわからない時間が流れる。
不意に、合図など何もなく瞬時にしてボクの目の前に現れたLuは、右手を振り上げた。
振り上げて・・。

「フロストドライバ」

その声を聞いただけで、周囲の温度が数度下がったように思えた。
こんな事いっちゃなんだけど、聞きなれたその声に、これ程安心した事なんて今まではなかっ
たと思う。

「片腕しか凍らんとはなぁ。おかしいの」

Luの右腕を凍らせた主は、ボクの服を掴みこう告げた。

「撤退するぞ。その・・」

夜月さんが言い切る前に、Luが左足を蹴り上げる。
ボクを少しだけ引き寄せた彼女は、手甲代わりのガードで叩きつけられた足を、危なげ無くはじき上げた。

「礼儀もわからんようになったか・・」

そう言うと、蹴りをはじいた手で長い乳白色の髪を耳にかける。
耳には悪魔の翼を象ったイヤリング。
ってかこの人・・。やっぱりセージなんかじゃないよなぁ。

「まぁいい。葭、その本だけでも拾ってついて来るんじゃ!」

「は、はい!」

葭さんもいるの?
夜月さんに気を取られすぎてたみたいで、全然気がつかなかった。
葭さんは速度減少をLuにかけると、一冊の革張りの本を取り、こちらへ駆けてきた。
ってか夜月さんの肩に司書官が・・・。いつの間に?としか言いようが無い。

『夜月さん・・いつの間に?』

そう聞いたボクに、口の端を少しだけ上げて答えると、フロストドライバをLuへ唱える。
今度は足を狙ったみたいだ。
うまい具合に足を凍らせた事を確認すると

「とりあえず外に逃げるぞ。ここで戦りおうても始まらん」

そう言い、破られた扉を足蹴に来た道を走り出した。
ボクは夜月さんに引っ張られる様に後ろ向きで走り出す。
な、難易度が高いような・・?

「ほら、おんしも走らんかい!」

『は、はい!』

暗い廊下を走る。
どうしてこうなったとか考える余裕なんてなかった。
と言うより、考えれば考えるほど・・・。
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by factfinder | 2006-06-13 16:15 |  

心静まり、そして・・。 4

『ここはー・・』

司書官が連れてきてくれた場所は、少し大きめの個室だった。部屋の中には小さな本棚と少し大きめの机と椅子がある。さっきまで歩いて来た廊下よりもさらに暗く、光源と思われるものは机の上にあるランプだけだ。

「ここです。Luさんが使われてた資料室は。」

そう言いながら司書官は本棚に近寄り、本を数冊出しながら言葉を続ける。

「ルーン文字・・。この文字がそもそも発見されたのはつい最近の事になるんです。そう確か・・、去年の2月15日。当時、名もない騎士がジュノーでその本を見つけました。その本が発見された場所と言うが、ジュノーにある図書館の大広間。しかもその部屋の中央にあったとその騎士は申告していました。見つける見つけない以前に、何故今まで見つからなかったのかと思いませんか?」

司書官は探す本を5冊程に絞り、机の上に置く。

「そんなはずは無いと教授達は事実関係を洗いましたが、事実その本はその場所に張り付いたように動かす事も出来ず、今もそのままジュノー国立図書館の大広間中央に存在しています。」

『その本がルーン文字で書かれていたんですか?』

「そうです。当時の教授達は解読すら出来ず、ルーン文字だという事すら気がつかなかったみたいですが・・。しかし、そこで登場してくるのが、本を見つけた騎士。ユミルの存在です。彼はその本に記されている内容をあろう事か理解し、"転生"の間へ行った。」

『そ、それってもしかして、ユミルの書?』

「はい。その通りです。ユミルが戻ってきた時、ノービスになっていてー・・。その後の事は冒険者たるあなたの方が詳しいですね。」

止めていた息を吐く。転生に使われるような文字をLuは解読していた・・?

「後日談ですが、その本の名前は騎士の名を取り、ユミルの書となった訳です。因みに、ユミルもその後の消息は不明。ここの資料は、続々と転生する人が増え、その人達の証言を元に作られています。」

『・・なるほど。で、Luは解読できてたんですか?』

「そこですが、あまり分からないんです。Luさんが調べていた文字がルーン文字だという事は分かっているんですが・・。お役に立てなくてごめんなさい」

そう言いながら頭を下げる司書官に、そんな事しないで下さいと言うと、お礼を言いながらボクも本棚へ向かう。

ドォォォォォォン!!

その時、ボクの耳には建物の何処かで何かが壊れた様な音が聞こえた。

「『な、何!?』」

ドォォォォォォン!!

しかもどんどん近くなっている気がする・・!
ボクは司書官を連れて図書館の外に出る事に決め、司書官の手をひ・・。

ドォォォォン!!

間違いなく扉が壊れた音だ。
この部屋にある扉が壊れたようにボクは聞き取れた。
本棚に向かっていたボクは、扉を背にしていて扉が壊れた理由など分からなかったけど、悪意のある何者かの意志が背中にビリビリと押し付けられていることだけは分かる。
竦み上がるほどの威圧感にボクは振り向くことすら出来ない。

「L・・u・・さん・・?」

そう呟く様に司書官は言うと、背中越しにボクの服を引っ張った。
ボクは後ろを向こうとするが、体が石になった様に動かない。

「Luさ・・

言い切る前に背中で鈍い音がした。
ボクの背中にあったはずの司書官の手が、するするとボクの背を下っていく。

ん・・」

動け!動け動け動け!!!
体が石になったとかどうでもいい!今ココで動いておかないと多分一生後悔するぞ!
無理やり体を横に向け、崩れる司書官をまず視界に納めた。
次に視界へと入ってきたのは。

『Lu・・?』
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by factfinder | 2006-06-13 16:14 |  

心静まり、そして・・。 3

たまり場から国立図書館への道程は、そう長いものでもなかった。
焦る気持ちからか、足早に進んだのもあったんだろうけど。

目の前に立つ古めかしい建物がプロンテラ国立図書館。
多分この国で一番古いであろうその建物に圧倒されたけど、中に入らないと何もはじまらないから気合を入れてー・・。

「どこにいるんですか!?私も行きます!」

急にギルド会話で呼びかけられて、鼓動が早くなった。
この声はー・・。葭さんかな。
今のところギルド会話に接続しているのは、ボクと葭さんだけみたいだったから、ボクに話しかけたんだろうな。
Luの事をとても心配してくれてたみたいだけど、ビックリさせないで欲しいなぁ。

『図書館にきてます』

それだけ言うと、ギルド会話の接続を切った。
ボクにはこの時もう既に余裕がなかったんだと思う。
改めて図書館の扉を開く。
図書館の中は思ったより広くて明るかった。
どうにもこの本がかびた臭い?ってのが好きになれないなぁ。こんな事でもない限り自発的には来なかっただろう。
どこから手をつけようかなとキョロキョロしていると、受付の向こうに座っている司書官を視界の端におさめた。
そうだ、あの人に先ず聞いてみよう。

『あのー、すみませんがLuって名前のモンクがこの図書館を利用してたみたいなんですけど。何を借りていたかとか探していたかとか分かりませんか?』

女性の司書官は片眼鏡をかけると、ボクの顔をまじまじと見ながら

「L・・u・・さんね。あぁLuさん?来られてましたねー。ただ、あの人はココの常連ですので、何を探すにしても一人でされてたみたいですからねぇ・・・」

『どこの辺りを頻繁にうろついてたかとかでもいいんです!』

「うろつくと申されましても・・。あぁ!一冊だけ貸し出し記録が残ってます。名前はですね"おいしいご飯の作り方-初級編-"ですね。貸し出した日時は今年の春となっております」

ガクッと腰が砕けたね。明らかに違うよなぁ・・。緊張感をぶち壊すには十分な題名だった訳で。
さすがLu・・・。
ってか、こ、こここ今年の春ってもしかして・・!
その考えに思い至ると顔が赤くなってきた事が自分でも分かった。
しかもその題名ってやっぱり・・・。やばい恥ずかしい・・。

「どうされました?顔が真っ赤ですよ」

『な、何でもないです!』

赤くなった顔を冷やすように顔を横に振ると、また質問してみた。
これ以上バカな想像をしてる訳にもいかない。

『ええっと。何か、ホントに小さな事でもいいんです。覚えてらっしゃる事ありませんか?』

「さぁ・・、分かりかねますが。Luさんが何をしていたかを知りたいんですかね?紋章を見ればLuさんと同じギルドの方とお見受けしますけど、何かあったんですか?」

司書官は明らかに不振そうな目つきをして、質問を返してきた。
まぁハッキリ言って、事情を知らない人だったらストーカーか何かだと思うに違いないなぁ。
ボクは、Luがいなくなった事、失踪直前までココへ足繁く通っていた事を伝えた。

「なるほど・・。分かりました。ではこちらへ来てください。」

司書官は片眼鏡を外し椅子から立ち上がった。

『え・・?』

呆気にとられるボク。

「アナタの事はLuさんからよく聞いてますよ」

何故かこの司書官はそう言いながら笑ってる。

『ぇ・・?』

何を・・・。

「どんなかっこいい人かと思いきや・・。何かどっちかって言うとかわ・・」

うああああああああああああああ!!!!!!!????

『な、何を言ってるんですか!今はそれどころじゃないんですって!』

焦ったボクはどもりながらも話を大筋に戻す。
何を言ってたんだLuは!

「そ、そうでした。ごめんなさいね・・。さぁこちらへ」

促されて連れて行かれたのは、小さな廊下だった。
館内にしては薄暗い廊下を先行しながら司書官は続けた。

「Luさんは最近文字を調べてらっしゃいました。この一週間ずっと。」

『文字・・。と言うと?』

「ルーン文字です」

『ルーン文字・・。』

噛んで含むように繰り返す。何の為に?

「神話の時代に作られたこの言語は、一般には非公開なのですけど・・。内緒ですよ」

そう言うと司書官は笑った。
少し寒気がしたのは多分勘違いなんかじゃないだろうな。
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by factfinder | 2006-06-13 16:13 |  

心静まり、そして・・。 2

それから3日間は、何事もなく過ごした。
ただヒトツだけ不思議に思う事がある。
それは、Luが3日前にジュピロスへ狩りに行った後から、国立図書館とジュピロスを交互に行き来するようになった事だ。
元々Luは、夜月さん程ではないけど博学で、勉強熱心なんだけど、ことこの一週間の間に30回以上は行ってるみたい。何故だかは知らないし、ボクは多分聞いてもわからない。それに一応ボクの事は忘れてないみたいで構ってくれてるから、Luが言いたくなったら聞いてあげる事にしようと思ってた。


ジュピロスへの狩りから5日が経過した。

ボクはいつものように火山で、エクスプロージョンやカホを叩いたり、ラヴァーゴーレムを物陰から見ていつの日か倒すことを夢想してたりした所だった。
聞きなれた、心地よい声がギルド会話から呼びかけてきた。
Luだ。

「今、話しても大丈夫かな?」

『うん。どしたの?』

「明日、もし時間作ってくれるならジュピロスへ一緒に行かない?」

『ふ、ふたりで・・?頑張るよ!』

「ふふ。実はね・・」

『あちっ!!』

話に集中してて、カホが魔法を唱えてるのに気がつかなかった・・。
大丈夫と言った手前、恥ずかしさに顔が赤く染まるのがわかる。
目の前にLuがいなくてよかった。

「ど、どうしたの!?大丈夫?」

『う、うん。』

「どうせ私との会話に集中しすぎて、カホか何かの魔法詠唱に気がつかなかったんでしょう?」

て、的確ー・・。いなくてもボクの行動程度はお見通しらしい。
でも一応否定しトコ。

『ち、ちがうって!』

「ふふ。どーだか」

またいつもの様に笑ってるんだろうなぁ。
手の甲を口元にやり、頭についてる尻尾と肩を揺らしてるLuを想像した。
い、いかん。話題を変えないと・・。

『実はってどうしたの?』

半ば無理やりの質問だったけど、Luはちゃんと答えてくれた。
でもあんまり答えにはなってなかったけど。

「行ってから教えてあげるね。多分あなたもビックリするから!」

珍しく語尾を強めて発言するLu。
調べてた事なんだろうけど、やっと話してくれる気になったって事の方がボクには遥かに重要だった。
その後Luは時間と場所を指定して、私はちょっと疲れたからと寝てしまった。
ボクとしては少し寂しくもあったけど、明日はデートだと思うとまぁ・・。げほげほ。
楽しみだって事!



けど、Luは次の日来なかった。
と言うか、ギルドにもLuの名前が無くなっていた。
ギルドの人・・、やんさんやQさん、葭さんにも聞いてみたけど、いつの間に脱退したのかもわからないらしい。
夜月さんは火山に行ったまま行方不明。あの人の事も心配と言えば心配だけど、いつもの事だし今はLuの事だ。
あのLuが挨拶もなくギルドを抜けるとは考えにくい。
何かあったに違いないんだ。
心配になったボクは、Luのこの5日間の軌跡を追う事にした。
手始めに国立図書館へ行く事に決める。

5日前の狩りの後に出てきた不安が、最悪の形で現れたように思えてならなかった。
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by factfinder | 2006-06-13 16:12 |