あの日あの時あの場所で?

復帰!(゚┏д┓゚)ノシ
by factfinder
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乾いたままで。11

 いつの間にか視線が絡み合い、どちらが視線を外すという事もなく、結構な時間を見つめあっていた。
 真面目な顔をして私を見るその視線を、とても愛おしく思う。汗の浮かぶ背中を強く抱きしめると、ついさっき私が引っ掻いてしまった傷跡を指でなぞる。
「これ・・ごめんね」結構深く長く出来た八本の傷跡「私が・・」。
「ううん」言葉を遮られると、あいつは続ける「俺より自分の心配しなよ」一丁前な口を聞くように なったあいつを、一層強く抱きしめると、背に回していた両手であいつの胸を少し押し上げた。
 また少しの間見つめあうと、あいつの顔に私の両手を添えてこちらに優しく近寄せる。あいつは目を閉じながら私の名前を呟いた。
 私も目を閉じていたけど、その声を聞いたら何故か・・。「ぷっ」と吹き出してしまっていた。それに続けてあははと笑ってしまう。両親が留守だとは言え、周りには気がつかれないように音量は小さくね、と、あいつに強く注意したはずな私の方がコレではうるさかった。
「なんだよー」と私の顔を困った風に見ながらいってきたあいつを横目に、私は声を堪えて笑い続けた。それを見たあいつは、いじけた様に私の上から移動すると、私とは逆方向を向いて横になる。私はと言うと、ひとしきり笑い終わるまでその行動を見ていたが、その姿も何故か笑いを誘ってしまって、なかなか笑いが止まらなかった。
 私に背を向け、横になったまま動かないあいつを見る。いつの間にか肩幅も広くなって筋肉質になっていた体。
「ねぇ」と私は呼びかけてみるが応答がない。見事にいじけたあいつをどうするかと思案にくれて、名案を思いついた。
「ごめんね」と、あいつの背中に密着するよう体をすりつけ「機嫌直してー」と私が出来る精一杯の猫なで声で言ってみた。
 一瞬びくっとした後、あいつ背中から私の胸を伝わって、だんだんと鼓動が早くなってきたのは分かったが、動こうとはしないみたい。
それを見て、ふーんとだけ私は言うと、ベッドから立ち上がって敷布団のシーツを剥がす。少し赤く染みの付いたシーツを体に巻いてから窓際へ歩き出した。
 シーツを剥がした拍子にベッドから落ちたあいつは、下着姿のまま胡坐を組んで、私の方を見ているようだったけど、気にしてませんよというような素振りで、私はその前を通り過ぎる。
 窓を開けると、外には綺麗な夜空が広がっていた。何より大きな月が笑いかけてきているのが印象的。こちら側の窓は、町並みとは逆の方向に作られていて、少し大きめの柵の後ろに山や森が見えた。風が吹くと森から湿った空気が流れてきて、土の臭いを運んでくれる。季節的には夏ももう終わりそうだったが、まだまだ冬に比べると暖かい。
 後ろの方で何か動く気配を感じたが、それも気にしてはいない素振りをして、片腕だけを上げて背伸びをした。
「んっー」と背伸びし終わったところで、ふと後ろ側から抱きしめられる。私は何も言わずにそのままでいると、あいつの方から何か言ってきた。
「いじわるしてごめん」
 どう考えても私の方が悪いのだが、そこは流して続きを待つように黙り込んでいた。
 少しの間は我慢できたが、明るい月に照らされて、私の体があいつに見られてないかと思いついてからは無理だった。今度は私の鼓動が早くなっていくのがわかる。シーツで隠していようが恥かしいものは恥かしい。
「ホントわがままだよなー」熱くなる体を必死に堪えてまで待っていたのにもかかわらず、思っていたのとは違う続きが聞こえてきた「でも、やっぱり好きだ」いや、違わなかったみたい。
 私は肩にまわされたあいつの手を取ると、ゆっくりと体を向けた。嬉しそうに笑っているあいつの顔を見て決心する。いつの間にか追い越された背を疎ましく思ったが、あいつの肩に手を触れ、背伸びをしてからそっとキスをしてやった。



 昨日といい今日といい、何故こうも昔の夢を見るんだろうな。そう思いながら空になった隣を見つめてタバコを吸う。起きてみれば隣はもぬけの殻で、書置きが昨日のコップの下に置いてあった。
 よかったらWisしてね、とある。Wis名と共に置いてあったそれに火をつけると、コップの中で燃やしてやった。
 あれからシャワーを浴びても水を飲んでも、どこか潤されずに眠りにつけなかった私は、空が白みがかるまでベッドで横になっていた。その横でいびきを掻いていた騎士になどWisする訳がない。
 レッティとの約束の時間まで後一、二時間はある。タバコを吸い終わったら露店でも巡ってみようかな、と私は思いついた。
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by factfinder | 2006-05-01 00:11 |