あの日あの時あの場所で?
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乾いたままで。5
最終的に、考えをそこに落ち着かせると、職員に頭を下げてから臨時広場へ足を向けた。
門をくぐり、先程の場所に戻る。私の方が準備は早かったみたいで、あの頼り無さそうなハンターは到着していなかった。私の方が先に準備に行ったからか。
少しの間は、キョロキョロと辺りを見渡しながら待っていた。あの人・・どんな型なんだろうか。急にあの謙虚な態度が不安に思えてた私は、そんな事をふと思った。鷹メインだったりしたらどうしよう・・、それだったら狩場かえなくちゃな。などと考え込む。
五分待ったくらいで今日の晩御飯何にしようかと考えていた。待たされている事にイライラし始めたのか、最初に沸いた不安などどこ吹く風で、別の事を努めて考えるようにする。
十分・・程待ったところで、イライラが限界点に達すると、眼つきがきつくなっていたみたいで、周囲の人に煙たがられているのが分かった。キッと辺りを見渡し、ハンターが来ていない事を確認すると、PT会話で早く準備するように催促する事に決める。PT会話と呼ばれる、PTを組んだ人間同士だけで会話が出来る機能がある。その機能を使って話しかけてみた。
「あの、まだでしょうか?」
少し待っても返事が無かった。第一声が少し刺々しかったかなと少し反省して、今度は少し優しく・・。
「え?あ!ごめんなさい!」
私が話すより先に少し遅めの返事が戻ってきた。まさか寝てた?
「それより・・。準備終わりましたかね?」
「あ、はい!今、友人から何がいるか聞いたので、揃えて持って行きますね・・。お待たせして本当にごめんなさい」
「聞いた?」声に出すつもりは無かったのに出てしまっていた。何がいるか確認していたとかだろうけど。
「騎士団ペアなんて初めてなんで、何が必要か友達に聞いてたんです」
「私に聞いて貰えれば教えたのに」
「あ、いえ・・恥ずかしくてつい」
恥ずかしいってなんだ、とつい言いそうになるが、胸の内だけで堪えた。そうだ、狩は一時間きっかりにしよう。一時間だけ我慢しろと、自分に言い聞かせると、そこで会話は終わらせた。
少しの間無言の時間が続き「準備できました!今行きますね!」と言ってきたので、はぁとだけ答えた。
頑張るか・・。としか思えない自分が不幸だ。
変な事を考えるとため息が出てきて、少し肩を落として悪い空気を吐き出した。
すると、門の方駆け寄る足音が聞こえてきた。多分ハンターだろう足音に体を向ける。
案の定さっきの彼で、こちらに来るなり「本当にごめんなさい。」と頭を下げると「お待たせしました。」と言い出した。
な、んなんだ本当に・・。
私は体を少し仰け反らして「はぁ」とだけ言うと「それじゃ向こうの方でポタ出しますね」と背を向けて、臨時広場の隅にある木陰の方へと足を向けた。
「あ、待って!」
急にかけられた声にビックリして後ろを振り返ると、何故だか恥ずかしそうに頭をかきながら、こちらに近寄る姿が眼に入った。
「お、大声出してごめんなさい」
「はぁ」早く本題を言って欲しいのだけど。とは言わずに、辛抱強く次の言葉を待った。
「名前、なんて読むんですか?」
気が抜けた。
「はい?」と言うと、なぜか慌てて。
「ご、ごめんなさい」と私に向かってまた頭を下げると「アマツ方面で使われてる漢字・・ですっけ?」で言葉をとめた。
私が答えるところなのかは分からなかったが、とりあえず、「ええ」とだけ相槌を打った。
「良かった、あたってて」
何故・・か・・、嬉しそうに笑う。
何かが頭を過ぎった。すぐに消えてしまった何かを探ろうとしたけど、出てこない。
「僕、漢字が読めないんですよ・・」
少しの間思い出そうと必死になっていた私は、ハンターを無視する形になっていた。
読めないというのは、胸に付いた聖職者ギルドの登録証を見ていったのだろう。
「あ、あの」と心配そうな顔をして私の様子を伺う。私はというと、その顔を見ていると何故か急に笑いが込み上げてきて、つい吹き出してしまっていた。
今度はハンターの・・いや、私も胸の登録証に目を向けて名前を確認した。・・レッティ、が呆然とする番だったみたいだ。
ひとしきり笑うと、私は少しだけ胸を張り「おとせ」とだけ言った。
「おとせ?ですか」硬直の解けたレッティは、私を見てそう呟くと、もう一度おとせと繰り返す。
「違います。お・と・せ。タバコと同じ発音」
「な、なるほど?」
「どうして疑問系なんですか?」少し笑いながら尋ねる。
「違いがよくわかんなくて・・」頭をかきながら、ごめんなさいと続けた。
名前が読めない人は多い。アマツ限定の漢字など、教授職でもない限り読めないだろう。けど、そんなのいちいち確認してくれる人なんていなかった。そう考えると何故か笑いが込み上げてくる。
「まぁいいです。行きましょうか?」私は笑ったままそう言うと、臨時広場の隅へ向かって歩き始める。
少し遅れてついてくるレッティが何事かを話しているが、耳には入らない。
けど、ごめんなさい、が口癖のハンターに、何故か好感を持っている自分に気がついたのは、少したった後でのことだった。
門をくぐり、先程の場所に戻る。私の方が準備は早かったみたいで、あの頼り無さそうなハンターは到着していなかった。私の方が先に準備に行ったからか。
少しの間は、キョロキョロと辺りを見渡しながら待っていた。あの人・・どんな型なんだろうか。急にあの謙虚な態度が不安に思えてた私は、そんな事をふと思った。鷹メインだったりしたらどうしよう・・、それだったら狩場かえなくちゃな。などと考え込む。
五分待ったくらいで今日の晩御飯何にしようかと考えていた。待たされている事にイライラし始めたのか、最初に沸いた不安などどこ吹く風で、別の事を努めて考えるようにする。
十分・・程待ったところで、イライラが限界点に達すると、眼つきがきつくなっていたみたいで、周囲の人に煙たがられているのが分かった。キッと辺りを見渡し、ハンターが来ていない事を確認すると、PT会話で早く準備するように催促する事に決める。PT会話と呼ばれる、PTを組んだ人間同士だけで会話が出来る機能がある。その機能を使って話しかけてみた。
「あの、まだでしょうか?」
少し待っても返事が無かった。第一声が少し刺々しかったかなと少し反省して、今度は少し優しく・・。
「え?あ!ごめんなさい!」
私が話すより先に少し遅めの返事が戻ってきた。まさか寝てた?
「それより・・。準備終わりましたかね?」
「あ、はい!今、友人から何がいるか聞いたので、揃えて持って行きますね・・。お待たせして本当にごめんなさい」
「聞いた?」声に出すつもりは無かったのに出てしまっていた。何がいるか確認していたとかだろうけど。
「騎士団ペアなんて初めてなんで、何が必要か友達に聞いてたんです」
「私に聞いて貰えれば教えたのに」
「あ、いえ・・恥ずかしくてつい」
恥ずかしいってなんだ、とつい言いそうになるが、胸の内だけで堪えた。そうだ、狩は一時間きっかりにしよう。一時間だけ我慢しろと、自分に言い聞かせると、そこで会話は終わらせた。
少しの間無言の時間が続き「準備できました!今行きますね!」と言ってきたので、はぁとだけ答えた。
頑張るか・・。としか思えない自分が不幸だ。
変な事を考えるとため息が出てきて、少し肩を落として悪い空気を吐き出した。
すると、門の方駆け寄る足音が聞こえてきた。多分ハンターだろう足音に体を向ける。
案の定さっきの彼で、こちらに来るなり「本当にごめんなさい。」と頭を下げると「お待たせしました。」と言い出した。
な、んなんだ本当に・・。
私は体を少し仰け反らして「はぁ」とだけ言うと「それじゃ向こうの方でポタ出しますね」と背を向けて、臨時広場の隅にある木陰の方へと足を向けた。
「あ、待って!」
急にかけられた声にビックリして後ろを振り返ると、何故だか恥ずかしそうに頭をかきながら、こちらに近寄る姿が眼に入った。
「お、大声出してごめんなさい」
「はぁ」早く本題を言って欲しいのだけど。とは言わずに、辛抱強く次の言葉を待った。
「名前、なんて読むんですか?」
気が抜けた。
「はい?」と言うと、なぜか慌てて。
「ご、ごめんなさい」と私に向かってまた頭を下げると「アマツ方面で使われてる漢字・・ですっけ?」で言葉をとめた。
私が答えるところなのかは分からなかったが、とりあえず、「ええ」とだけ相槌を打った。
「良かった、あたってて」
何故・・か・・、嬉しそうに笑う。
何かが頭を過ぎった。すぐに消えてしまった何かを探ろうとしたけど、出てこない。
「僕、漢字が読めないんですよ・・」
少しの間思い出そうと必死になっていた私は、ハンターを無視する形になっていた。
読めないというのは、胸に付いた聖職者ギルドの登録証を見ていったのだろう。
「あ、あの」と心配そうな顔をして私の様子を伺う。私はというと、その顔を見ていると何故か急に笑いが込み上げてきて、つい吹き出してしまっていた。
今度はハンターの・・いや、私も胸の登録証に目を向けて名前を確認した。・・レッティ、が呆然とする番だったみたいだ。
ひとしきり笑うと、私は少しだけ胸を張り「おとせ」とだけ言った。
「おとせ?ですか」硬直の解けたレッティは、私を見てそう呟くと、もう一度おとせと繰り返す。
「違います。お・と・せ。タバコと同じ発音」
「な、なるほど?」
「どうして疑問系なんですか?」少し笑いながら尋ねる。
「違いがよくわかんなくて・・」頭をかきながら、ごめんなさいと続けた。
名前が読めない人は多い。アマツ限定の漢字など、教授職でもない限り読めないだろう。けど、そんなのいちいち確認してくれる人なんていなかった。そう考えると何故か笑いが込み上げてくる。
「まぁいいです。行きましょうか?」私は笑ったままそう言うと、臨時広場の隅へ向かって歩き始める。
少し遅れてついてくるレッティが何事かを話しているが、耳には入らない。
けど、ごめんなさい、が口癖のハンターに、何故か好感を持っている自分に気がついたのは、少したった後でのことだった。
by factfinder
| 2006-05-01 00:05
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